インド到着。時計がないので日本時間もわからず、当然フライトに何時間掛かったかもわからない。まずは入国手続きの為に税関へ向かう。なのだが入国できない。ビザも現金もあるのに荷物がないのが問題らしい。「ノー バゲジッ」と言う単語以外いまいちわからないが不振な表情は万国共通、よくわかる。宿泊先も決まっておらず、荷物もない。それがうまく伝えられず、お互いに表情が険しくなる。まさか荷物がない事が仇となるとは考えても見なかった。宿泊先も正直に応えず『タージ マハール ホテル』とでも書けばよかったのだ。こんなに早く経験のなさが表れるとは不覚である。そこで現れたのが太クン。順番待ちのときは日本人にはとても見えなかった愛知県民の太クン。(後で聞いたのだが、アジアを半年近く放浪しお金が残り少なくなり、タクシーやホテルをシェアする為に同じく貧乏そうな僕に声をかけたらしい)その太クンが半年足らずで身に着けた巧みな英語で険悪なムードの僕らの間を取り持ってくれている。天使に見えるチャイニーズ系の太クン。日焼けした肌が勇ましい名前の通りやや小太りで鼻の穴の大きい太クン。僕はお礼にチャトラパティ・シヴァージー国際空港(ムンバイ昔のボンベイ)からインド門やタージマハールホテルのあるムンバイで一番栄えているコラバ地区へペーパータクシー代約Rs325をご馳走し、久し振りの日本語を楽しみながら小一時間を過ごすのだった。
そして到着。時間はPM10:00(太クン時間)。とにかく人が多い。本当に多い。空港から出てタクシー乗り場から道中含めてとにかく人が多い。この時間に何をしているのかわからないがどこもかしこも人だらけ。お正月の明治神宮並みである(ちょっと言い過ぎ)。信号待ちのタクシーまで物売りから、興味本位でか人が集まり車道まで溢れている。そんな土地でまずはホテル探し。AM0:00を超えると泊めてもらえなくなることが多いのは調査済み。さすがに野宿好きの僕でも初日からここで野宿する気にはなれない。太クンとホテル探しを開始する。このホテル探しから日本では想像していなかった生インドを体験し、インドの虜になっていくのであった。
インドに着いて数日経つが慣れ半分、疑問半分まだ理解しきれず謎も多い。
食事は右手をナイフとフォークの様に巧みに使いこなし、テーブルと衣服をカレーまみれにしながら、時には熱いスープにも手を突っ込み舌鼓を打っているのだが、この地点ではまだ僕はインド人になれずにいる。はがゆい・・・
ムンバイに飽きた僕はアウランガバードに行く事にする。あえて言い訳をするならせっかく来たのだから観光もしたい。これが本音である。アウランガバードにはおもちゃのようなタージ・マハル【ビービー・カ・マクバラー】しかない。タージ・マハルは大理石で出来ているのに対し、ビー・ビーは漆喰が使われておりどうにも心が躍らず足が向かない。本当の目的地はエローラとアジャンタで、その地に行くにはムンバイからバスに揺られて拠点であるアウランガバードに行かなければならない。(ホントは電車や国内線でも行ける)
エローラとアジャンタに何があるかというと遺跡である。取り立てて説明する必要はないが実はそんなに遺跡好きでもない。只インド人になれなかったとき、万が一僕がインド人になれなかったときに何も残らない気がして決めた遺跡観光である。
善は急げまずはチケットである。もともと行くつもりだったのでチケット売場は日本に居るときから暗記している。慣れた土地、チケットは割りとあっさり入手できた。相変わらずデタラメなお金の使い方でデラックスバスのシートを確保。Rs400。絶好調である。後はバスが出発するのを待つだけ。なのだがさすがインド、そのバスが出発予定時刻を1時間半過ぎても発車しない。期待通りのおいしい展開である。その約15分後、大型50人乗りデラックスバスは乗客僕一人を乗せて荒々しくスタートするのであった・・・。
◆つづく◆
iPhoneからの投稿
2012
07Dec